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コラム

税務・会計
2023.07.18

簡易課税制度とは

消費税の計算方法には、本則課税と簡易課税があるのをご存知でしょうか?

簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上に係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。

 

具体的には、その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。

 

簡易課税制度を適用するときの事業区分およびみなし仕入率は、次のとおりです。

事業区分

みなし仕入率

該当する事業

1種事業

90%

卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。

2種事業

80%

小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第1種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)をいいます。

3種事業

70%

農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業をいい、第1種事業、第2種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。

4種事業

60%

1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。

なお、第3種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第4種事業となります。

5種事業

50%

運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第1種事業から第3種事業までの事業に該当する事業を除きます。

6種事業

40%

不動産業

 

計算方法・計算式

簡易課税制度を適用する場合の仕入控除税額の計算については、次のとおりです。

 

基本的な計算の方法

(算式)

仕入控除税額=(課税標準額に対する消費税額―売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額)×みなし仕入率

 

特例の計算

 2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。

 

 3種類以上の事業を営む事業者で、特定の2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の課税売上高の75%以上を占める事業者については、その2業種のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高については、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上げに対して適用することができます。

 

例えば、3種類以上の事業を営む事業者の第1種事業および第2種事業に係る課税売上高の合計が全体の課税売上高の75%以上を占める場合の計算式は次のとおりです。

 

(イ)原則法

 

仕入額控除税額

(課税標準額に対する消費税額―売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額)

×

第1種事業に係る消費税額×90%+(売上に係る消費税額―第1種事業に係る消費税額)×80%   

売上に係る消費税額

 

(ロ)簡便法

 

次のAおよびBのいずれにも該当しない場合は、次の算式により計算しても差し支えありません。

 

A 貸倒回収額がある場合

 

B 売上対価の返還等がある場合で、各種事業に係る消費税額からそれぞれの事業の売上対価の返還等に係る消費税額を控除して控除しきれない場合

 

仕入控除税額=第1種事業に係る消費税額×90%+(売上に係る消費税額―第1種事業に係る消費税額)×80

 

例1)課税売上4400万円(税込)、事業割合が第1種事業50%、第2種事業30%、第3種事業10%、第4種事業10%の場合(2種の事業で75%以上の場合)

 

  200万円×90%+200万円×80%=340万円(仕入控除税額)

 

例2)課税売上4400万円(税込)、事業割合が第1種事業40%、第2種事業30%、第3種事業20%、第4種事業10%の場合(2種の事業で75%未満の場合)

 

  160万円×90%+120万円×80%+80万円×70%+40万円×60%=320万円

(仕入控除税額)

 

事業区分をしていない場合の取扱い

2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。

 

 

大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4

業務部法人 第3課 監査担当 加藤隆太

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