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税務・会計
2023.12.11

古物商の仕入税額控除について

10月からインボイス制度が開始されますが、古物商を営んでいる場合に消費者からの仕入について、仕入税額控除ができるのか気になっている方もおられると思います。

古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、適格請求書発行事業者以外の者から同法に規定する古物(古物商が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を買い受けた場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(新消法30⑦、新消令49①一ハ⑴)。仕入れた古物・質物は、販売するものでなければなりません。自分の生活や事務のために直接利用したり消費したりするものは、棚卸資産ではありませんので、控除の対象になりません。

なお、相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。具体策としては、買い取る際に相手方に記載させる書類において、インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)か否かのチェック欄を設けることで把握できます。

一定の事項が記載された帳簿の記載事項については、通常必要な記載事項に加え、次の事項の記載が必要となります。

・ 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨

・ 仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)

(注) 古物営業法帳簿により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、当該課税仕入れの相手方の住所又は所在地の記載が不要です(インボイス通達4-7)。

当然ながら、古物商無許可で営業している人は対象になりません。もともと、中古品の仕入・販売を事業として行うには、古物商の許可が必要ですので、無許可の際は、速やかに警察署に申請してください。

 

(参考)

古物営業を営む場合、古物営業法において、商品を仕入れた際の対価の総額が1万円以上(税込み)の場合には、帳簿(いわゆる「古物台帳」)に①取引年月日、②古物の品目及び数量、③古物の特徴、④相手方の住所、氏名、職業及び年齢、⑤相手方の確認方法を記載し、保存しなければならないこととされています(古物営業法1618)。

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項は「、①課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地(古物台帳に、取引の相手方の氏名や住所を記載することとされていない場合には不要)」、「②課税仕入れを行った年月日」、「③課税仕入れに係る資産又は役務の内容」、「④課税仕入れに係る支払対価の額」、「⑤帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」ですが、古物台帳には①から④の事項が記載されていることになります。

なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項としては、⑤の事項も必要となるため、古物台帳と⑤の事項について記載した帳簿(総勘定元帳等)を合わせて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。

この場合、古物台帳については帳簿の保存期間(課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間)保存しておく必要がある点にご留意ください(消令71②)。

 

大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4

業務部法人 第3課 監査担当 加藤隆太

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