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税務・会計
2024.05.01

土地と建物を一括取得した場合の土地等の取得価額について

 土地と建物を一括購入した場合、取得価額をそれぞれ分ける必要があります。国税庁では取得価額について、次によるものとしています。

 

(1)当該土地等及び建物等の価額が当事者間の契約において区分されており、かつ、その区分された価額が当該土地等及び建物等の当該取得の時の価額としておおむね適正なものであるときは、当該契約により明らかにされている当該土地等の価額による。

 

(2)当該土地等及び建物等の価額が当事者間の契約において区分されていない場合であっても、例えば、当該土地等及び建物等が建設業者から取得したものであってその建設業者の帳簿書類に当該土地等及び建物等のそれぞれの価額が区分して記載されている等当該土地等及び建物等のそれぞれの価額がその取得先等において確認され、かつ、その区分された価額が当該土地等及び建物等の当該取得の時の価額としておおむね適正なものであるときは、当該確認された当該土地等の価額によることができる。

 

(3) (1)及び(2)により難いときは、当該一括して取得した土地等及び建物等の当該取得の時における価額の比によりあん分して計算した当該土地等の金額を、当該土地等の取得価額とする。

 

この(3)による場合、どのように取得価額を算定するかご紹介したいと思います。

・当該建物および土地の時価がわかる場合

この方法が大原則で、基本的に土地と建物の取得価額は購入時の時価の比で按分します。

時価というのは一般的な売買価額のことですが、しかし、これが一番分かりにくいもので、不動産鑑定士や不動産会社に聞かないとわかりません。

実務上は一番使いにくい方法です。

 

・契約書に消費税額が記載されている場合

売買契約書に消費税額が記載されている場合は一番カンタンです。

消費税は建物にしか課税されませんので、消費税額を消費税率で割り戻してやれば建物の取得価額が計算でき、残額が土地の取得価額になります。

 

・固定資産税評価額で按分する場合

売買契約書に消費税額が記載されていない場合は、固定資産税評価額の比で按分します。

固定資産税評価額は、市役所で評価明細を取得するか、固定資産税の納税通知書でも確認することができます。

・建物の標準的な建築価額で按分する方法

建物の標準的な建築価額とは、建物の標準的な建築価額表に載っている、建物の「建築年」と「構造」で定められた1㎡あたりの建築価額から建物の取得価額を求める方法です。建物の取得価額決定後、残額を土地の取得価額とします。

 

 それぞれの按分方法で土地と建物の取得価額が異なります。複数の方法を選択できる余地があるならば、有利になる方法を検討すべきですが、土地と建物のどちらの取得価額を多くすれば有利になるかはケースバイケースです。減価償却費を多く計上したい場合や消費税の仕入税額控除額を多くしたい場合は建物の取得価額を多くした方が有利ですし、譲渡原価を計算する場合は土地の取得価額を多くした方が譲渡益は少なくなり有利になります。どうすれば一番有利になるか、慎重に検討することが大切になります。

 

参考:国税庁HP「土地等と建物等を一括取得した場合の土地等の取得価額の区分」

 

大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4

企業第二課 監査担当 大西純平

 

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