現物出資と消費税の取扱いについて
会社を設立する際、資本金を金銭で払い込むだけでなく、建物や機械、車両などの資産を出資する 「現物出資」 という方法があります。特に、個人事業主が法人成りをする際には、事業で使用していた資産を現物出資するケースが多く見られます。
しかし、現物出資は 消費税の課税対象 となる点に注意が必要です。本記事では、現物出資の消費税の取扱いについて解説します。
現物出資は消費税の課税対象となる
消費税法では、「事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に消費税が課されると定められています。現物出資も、資産を会社に譲渡し、その対価として株式を受け取る取引であるため、消費税の課税対象となります。
消費税の課税標準(基準となる金額)について
通常、消費税は取引における「対価」に対して課されますが、現物出資の場合は 取得する株式の時価 が課税標準となります。
例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
・個人事業主が1,000万円相当の事業用建物を会社に現物出資する
・その対価として、会社から1,000万円分の株式を受け取る
この場合、1,000万円が消費税の課税標準 となり、これに対して消費税(原則10%)が課されます。
「事後設立」の場合の取扱い
現物出資と似たケースとして 「事後設立」 があります。
事後設立とは、会社設立後に一定期間内(原則2年以内)に、設立前から存在する資産を会社に譲渡することを指します。この場合、消費税の課税標準は 「実際に受け取る金額」 となり、現物出資とは取扱いが異なるため注意が必要です。
まとめ
・現物出資は消費税の課税対象となる
・課税標準は、取得する株式の時価
・事後設立に該当する場合は、実際に受け取る金額が課税標準となる
個人事業主の法人成りを検討されている方や、現物出資を考えている方は、消費税の取扱いについて事前に確認し、適切な対応を行いましょう。
税務処理についてご不明な点がありましたら、ぜひ当事務所までご相談ください。
[参考]
消法2、4、28、消令2、45、消基通5-1-6など
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
企業第五課 監査担当 田中伸子