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税務・会計
2025.05.01

現物出資と消費税の取扱いについて

会社を設立する際、資本金を金銭で払い込むだけでなく、建物や機械、車両などの資産を出資する 現物出資 という方法があります。特に、個人事業主が法人成りをする際には、事業で使用していた資産を現物出資するケースが多く見られます。

しかし、現物出資は 消費税の課税対象 となる点に注意が必要です。本記事では、現物出資の消費税の取扱いについて解説します。

 

現物出資は消費税の課税対象となる

消費税法では、「事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に消費税が課されると定められています。現物出資も、資産を会社に譲渡し、その対価として株式を受け取る取引であるため、消費税の課税対象となります。

 

消費税の課税標準(基準となる金額)について

通常、消費税は取引における「対価」に対して課されますが、現物出資の場合は 取得する株式の時価 が課税標準となります。

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

・個人事業主が1,000万円相当の事業用建物を会社に現物出資する

・その対価として、会社から1,000万円分の株式を受け取る

この場合、1,000万円が消費税の課税標準 となり、これに対して消費税(原則10%)が課されます。

 

「事後設立」の場合の取扱い

現物出資と似たケースとして 事後設立 があります。
事後設立とは、会社設立後に一定期間内(原則2年以内)に、設立前から存在する資産を会社に譲渡することを指します。この場合、消費税の課税標準は 実際に受け取る金額 となり、現物出資とは取扱いが異なるため注意が必要です。

 

まとめ

・現物出資は消費税の課税対象となる

・課税標準は、取得する株式の時価

・事後設立に該当する場合は、実際に受け取る金額が課税標準となる

個人事業主の法人成りを検討されている方や、現物出資を考えている方は、消費税の取扱いについて事前に確認し、適切な対応を行いましょう。

税務処理についてご不明な点がありましたら、ぜひ当事務所までご相談ください。

[参考]
 消法2428、消令245、消基通5-1-6など

 

大阪の税理士 杉本会計事務所

大阪市東住吉区杭全3-4-4

企業第五課 監査担当 田中伸子

 

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