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2025.06.20

電子化で収入印紙は不要? ~契約書や領収書をデータでやり取りする際の印紙税の取り扱い~

契約書や領収書など、金銭のやり取りが発生する文書には、収入印紙を貼る必要があるケースがあります。これは「印紙税法」に基づき、課税文書を作成した際に印紙税を納める義務があるためです。

では、電子データでやり取りした場合はどうなるのでしょうか?

 

収入印紙とは?

収入印紙とは、税金や手数料の支払いの証明となる印刷物(紙片)のことで、主に契約書・領収書・請負契約書などの「課税文書」に貼付することで、印紙税を納めます。

 

印紙税が課されるのは「紙で交付」した場合

印紙税法第3条では、課税文書を「作成」した者に印紙税の納税義務があるとされています。そして、「作成」の定義は、国税庁が示す「印紙税基本通達」によって具体的に示されています。

その中でポイントになるのが「印紙税基本通達第44条」。

ここでは、課税文書を「相手に交付する目的で作成された場合」に印紙税が発生するとされています。

つまり、紙で作成し、相手に渡した場合に「交付」にあたるため印紙税がかかるのですが、電子データとして送信するだけであれば、「交付」には該当しないとされており、印紙税の課税対象外となります。

 

電子化された契約書・領収書は印紙不要!

この通達により、PDF等の電子データで契約書や領収書を送付・共有する場合には、印紙を貼る必要がなく、コスト削減にもつながります。

ただし、電子化できない契約書もあるので注意!

以下のような契約書については、電子化による印紙税の回避ができないケースがあります。たとえば:

 

    ・任意後見契約書

    ・事業用定期借地権設定の契約書

    ・農地の賃貸借契約書

    ・公正証書として作成される契約書

これらは法律上、書面または特定の形式で作成することが求められるため、電子化が認められない、または印紙税の対象外とならない場合があります。

 

まとめ

契約書や領収書を電子データでやり取りすることで、印紙税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、すべての文書が電子化できるわけではない点には注意が必要です。適切な形式で文書を作成しつつ、業務の効率化とコスト削減を両立させていきたいですね。

 

 

〔参考〕

印紙税法、国税庁「印紙税基本通達」

 

大阪の税理士 杉本会計事務所

大阪市東住吉区杭全3-4-4

企業第五課 監査担当 田中伸子

 

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