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税務・会計
2025.07.17

源泉所得税の納期の特例

1.はじめに

源泉所得税及び復興特別所得税(以下、「源泉所得税等」といいます)は、原則として徴収した日の翌月10日が納付期限とされています。しかし、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者については、一定の手続きを行うことで、源泉徴収した所得税等を半年ごとにまとめて納付できる「納期の特例」という制度が認められています。

 

本コラムでは、この「納期の特例」について、その仕組みや申請方法などをわかりやすく解説いたします。小規模事業者や個人事業主の方にとっては、経理負担の軽減につながる有用な制度ですので、ぜひ参考にしてください。

 

2.源泉所得税とは

源泉所得税とは、給与や報酬などの支払い時に、支払者があらかじめ所得税分を差し引いて給与や報酬などを支払い、所得税額を代わりに納税するという制度です。対象となるのは、従業員への給与・賞与、退職金のほか、税理士や弁護士などの士業への報酬などが挙げられ、原則として、実際に支払いを行った月の翌月10日までに納めなければなりません。

 

3.源泉所得税の納期の特例

給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者で、納期の特例の承認を受けた事業者は、以下のスケジュールで源泉所得税等を納付することが認められます。

 

  • 1月から6月までに徴収した税額:710日までに納付
  • 7月から12月までに徴収した税額:翌年120日までに納付

 

これにより、年間の納付回数は2回となり、事務負担が大幅に軽減されます。

 

4.申請手続と届出について

この特例の適用を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、給与等の支払を行う事業所の所在地を管轄する税務署長に提出する必要があります。

申請書を提出後、税務署長から却下の通知がない場合には、申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、申請月の翌月に源泉徴収する所得税等から、納期の特例の対象となります。

 

なお、給与の支給人員が常時10人以上となり、特例の要件を満たさなくなった場合には、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出しなければなりません。この届出書を提出した場合には、その提出した日の属する納期の特例の期間から特例の適用はなくなり、通常の納期による納付が求められます。

 

5.さいごに

源泉所得税の納期の特例は、事業者にとって非常に有益な制度です。申請手続きも比較的簡単で、納付事務の効率化に大きく寄与します。制度を正しく理解し、適切に活用することは、安定した税務管理の第一歩となります。税務に関するお悩みやご相談がございましたら、どうぞお気軽に弊所までお問い合わせください。

 

参照

国税庁

No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm

 

A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

 

大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4

企業第二課 監査担当 東 寛太郎

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