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コラム

2025.11.17

免税事業者と仕入税額の還付について

今回は、「免税事業者と仕入税額の還付」について解説いたします。

 

  1. 還付を受けられるのは「課税事業者」のみ

消費税の仕入税額控除や還付を受けることができるのは、「課税事業者」または「課税事業者となることを選択した事業者」に限られています。したがって、免税事業者は仕入代金に含まれる消費税・地方消費税の還付を受けることはできません。

 

  1. 還付の仕組み

事業者が商品を仕入れたり、サービスの提供を受けたりする際には、支払代金に消費税・地方消費税が含まれています。これらは、売上にかかる消費税等から控除することが可能です。

控除しきれない場合、その差額は確定申告により還付されることがあります。ただし、申告を行えるのは以下のような課税事業者に限られます。

 

  1. 還付申告ができる事業者

以下のいずれかに該当する場合、仕入税額の還付を受けることができます。

◆前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える個人事業者(課税事業者)

◆前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える法人(課税事業者)

◆課税事業者となることを選択した者(社)

◆適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録している者(社)

◆基準期間がない法人で、資本金又は、出資金が1,000万円以上の法人

 

※特定期間の判定について

課税売上高が1,000万円以下でも、「特定期間」における課税売上高または給与支払額が1,000万円を超える場合は、その課税期間から課税事業者となります。

個人事業者の場合:前年の 11日から630日 の期間

法人の場合:前事業年度開始の日以後の 6か月間

例えば、前年31日に事業を開始した個人事業者であれば、「31日〜630日」の課税売上高等で判定します(6か月換算は不要です)。

 

※新設法人の場合の注意事項

資本金が1,000万円以上の法人や、特定新規設立法人も同様に課税事業者となり、仕入税額控除・還付の対象となります。

※特定新設法人とは、他の大規模な事業者によって支配されている新規設立法人を指します。消費税法上の概念であり、本来であれば設立後一定期間免除される消費税の納税義務が、特定の要件を満たす場合に免除されなくなる(設立初年度から課税事業者となる)という特例措置の対象となります。

 

まとめ

免税事業者は、原則として消費税・地方消費税の還付を受けることはできません。還付を受けたい場合には、課税事業者としての選択届出を行うことが必要です。インボイス制度の導入後は特に、事業形態や取引先との関係を踏まえて課税事業者となるかどうかの判断を慎重に行うことが求められます。

 

参考

出典:国税庁「No.6613 免税事業者と仕入税額の還付」(令和641日現在法令等)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6613.htm

 

大阪の税理士 

税理士法人 悠久 杉本会計事務所

大阪市東住吉区杭全3-4-4

企業第五課 監査担当 田中伸子

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