障害者控除・所得金額調整控除
- はじめに
令和7年も残りわずかとなり、サラリーマンなどの給与所得者の方にとっては「年末調整」の時期が近づいてきました。年末調整とは、1年間に支払われた給与や賞与に対して、あらかじめ源泉徴収されていた所得税の金額を精算する手続きのことです。給与から毎月天引きされている所得税は、あくまで概算であり、年末にその人の年間所得や各種控除を正しく反映して、最終的な税額を確定させます。この年末調整では、扶養控除や配偶者控除など、さまざまな所得控除が適用されます。これらの所得控除の中でも、該当するかどうかの判断や金額の計算に注意が必要なのが「障害者控除」と「所得金額調整控除」です。いずれも、障害のある方やその家族の税負担を軽減するために設けられている制度ですが、制度の趣旨や適用条件にはそれぞれ違いがあります。本コラムでは、この2つの控除について、その概要や適用要件、控除額の違いなどをわかりやすく整理して解説します。
- 障害者控除
所得者本人、同一生計配偶者、または扶養親族が障害者である場合には、「障害者控除」を適用することができます。障害者控除は障害の程度や所得者と同居している事実の有無によって区分が分けられており、控除額も異なります。また、扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族であっても、控除の対象になることにも注意が必要です。
・控除の区分と控除額
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区分 |
範囲 |
控除額 |
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障害者 |
身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている人などで特別障害者以外の人 |
27万円 |
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重度の障害者 (特別障害者) |
身体障害者手帳1級又は2級の人など |
40万円 |
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同居特別障害者に該当 |
75万円 |
※同居特別障害者とは、特別障害者のうち、所得者本人又はその配偶者等のいずれかと同居している人をいいます。
- 2つの所得金額調整控除
所得金額調整控除には、①子ども・特別障害者等がいる場合の調整と②給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合の調整の2つがあります。これらの調整はいずれも確定申告で適用されるものですが、①の調整は、年末調整においても適用することができます。
- 子ども・特別障害者等がいる場合の調整
令和2年分から給与所得控除額の上限が220万円から195万円に引き下げられたことにより、給与等の収入金額が850万円を超える人は、令和元年分以前よりも税負担が増えることになりました。そこで、子育てや介護に対して配慮する観点から、所得者本人が特別障害者に該当する場合、又は23歳未満の扶養親族や特別障害者控除の対象なる扶養親族等がいる場合には、税負担が増えないよう、所得金額を調整する措置が講じられました。
具体的には、給与等の収入金額が850万円を超える人のうち、次の要件のいずれかに該当する人は、給与所得の金額から以下の算式を用いて計算される額の控除を受けることが出来ます。
・所得金額調整控除の対象要件
- 所得者本人が特別障害者に該当
- 23歳未満の扶養親族を有する
- 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する
・控除額の計算式
(給与等の収入金額-850万円)×10%=控除額
※控除額は15万円が上限額
- おわりに
障害者控除や所得金額調整控除は、いずれも障害のある方やその家族の税負担を軽減するために設けられた重要な制度です。特に障害者控除については、障害の程度や同居の有無によって控除額が異なるため、該当する区分を正確に確認することが大切です。これらの控除は、該当すれば税額が数万円単位で変わることもあるため、申告漏れのないよう注意が必要です。必要な情報や書類は早めに確認しておくと安心ですね。
本コラムで解説した二つの控除に限らず、税金の計算に必要な知識は数多く存在します。税務についてのお悩みやご相談をお持ちの方が居られましたら、ぜひ弊所までお気軽にご連絡ください。
参照
・株式会社 清文社
「Q&A 令和7年分 年末調整の実務ガイド」. 執筆:篠藤敦子(2025)
大阪の税理士
大阪市東住吉区杭全3-4-4
税理士法人 悠久 杉本会計事務所
企業第二課 監査担当 東寛太郎
