青色欠損金
1.はじめに
事業を営む上では、利益が安定して発生するとは限らず、赤字(欠損金)が生じることもあります。この欠損金をどのように取り扱うかは、将来の税負担や資金繰りに大きな影響を与えます。税務上は、欠損金を将来の所得と相殺する「繰越控除」や、過去の税額と相殺する「繰戻し」といった制度が設けられており、その内容を正しく理解することが重要です。本コラムでは、法人における欠損金制度を中心に解説しつつ、個人事業主との違いについても適宜触れていきます。
2.欠損金の繰越控除
法人において生じた欠損金は、一定の要件のもとで翌期以降の所得と相殺することができます。これを「欠損金の繰越控除」といいます。
法人の場合、この繰越期間は原則10年間とされており、長期間にわたって活用できる点が特徴である一方で、個人事業主の場合は、青色申告であっても繰越期間は原則3年間に限られています。
3.控除限度額の存在
法人の欠損金については、すべてを無制限に相殺できるわけではありません。
一定規模以上の法人では、所得金額に対して一定割合(原則50%)までしか欠損金を控除できないという制限があります。
4.繰戻し還付
欠損金が生じた場合、前期に納付した法人税の一部について還付を受ける「繰戻し還付」の制度があります。これは、黒字であった期の翌期に赤字となった場合に、前期の税額を取り戻すことができる仕組みであり、資金繰りの改善に直結する重要な制度です。
また、個人事業者においても、青色申告をしている場合には純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることができます。
5.適用要件
欠損金制度を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
・欠損を生じた事業年度において青色申告法人であること
・その事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額であること
・欠損金の生じた事業年度から損金算入の適用を受ける事業年度まで引き続いて確定申告書を提出し、その明細を記載していること
また、繰戻し還付制度を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。
・中小法人等であること
・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告である確定申告書を提出していること
・欠損事業年度の確定申告書を青色申告により期限内に提出していること
・欠損事業年度の確定申告書の提出と同時に「繰戻しによる還付請求書」を提出していること
6.おわりに
欠損金制度は、繰越控除や繰戻し還付といった仕組みにより、事業の損益の変動を平準化し、税負担を適切に調整する役割を担っています。
一方で、控除限度額や各種要件など、制度を正しく理解していないと十分に活用できない側面もあります。
税務についてのお悩みやご相談をお持ちの方が居られましたら、ぜひ弊所までお気軽にご連絡ください。
参照
・一般財団法人 大蔵財務協会
「令和7年分 図解 法人税」. 編者:宮本竜平(2025)
「令和7年分 図解 所得税」. 編者:宮武寛泰(2025)
大阪の税理士
大阪市東住吉区杭全3-4-4
税理士法人 悠久 杉本会計事務所
企業第二課 監査担当 東寛太郎
